医療法人の管理者の交代時の注意点

医療法人の管理者は、医療法第47条第1項の定めによって、医療法人の理事になる必要があります(特例認可を受けた場合を除く)。

あまり理解されていません(行政の職員も)が、指導要綱によると管理者の選任は「理事会」の議決で行うこととされています。

その為、今まで管理者ではない新たな人物を医療法人の運営する病院・診療所・介護保険施設の管理者にするためには、社団の医療法人であればまず社員総会を開き理事として選任したあと、理事会にて管理者として選任する、または理事会で社員総会での理事選任の決議を停止条件に管理者として選任したい旨及び理事として選任するための社員総会を開きたい旨を決議して、社員総会の招集をして社員総会で理事として選任するといった流れが必要です。

また、医療法第47条第2項には、「管理者理事が管理者を退いたときには、理事の職を失う」と言う、訳の分らない定めがあります。

理事長兼管理者だった方が、ご子息など新たに管理者を任せられる人が見つかった為に管理者を辞めて理事長として経営に集中したいなどと言う時には、管理者を辞めた時点で、理事としても法定退任した事になり、理事長も失職してしまうので注意が必要です。

管理者だった理事が管理者だけ「辞めた」場合には、その方に理事(理事長)として残ってもらうには再度、理事(理事長)として選任する必要があります。

また、良くあるのですが、いくつもクリニック等を経営している医療法人において、人事異動等で新たな管理者選任にあわせて他の管理者の方が管理するクリニックを移動するような場合に、移動する管理者の方から「管理者辞任届」が出されてしまうと、その方の理事としての再任も「医療法人の役員変更届け」で届け出なければならなくなります。

あくまでも人事は理事会の権限なので、単に人事異動で済ませておけば「管理者を退いた(退く=個人の意思)」では無いので管理するクリニックが変わっても管理者で有り続けている以上、理事でもあり続けると個人的には解釈しています(役所の中にはそうでは無い解釈をして指導する輩もいますが)。