医療法人の理事長の特別代理人の選任の必要性があるかどうかについて
医療法人の理事長の特別代理人の選任の必要性があるかどうかについて良くご質問を頂きます。
医療法では、医療法人と理事との利益相反する取引については、理事は代理権を持たない事になっています。
医療法人の場合には代理権を持つ理事はやはり、法律で理事長に限定されている為、結局は理事長と法人との利益相反する取引についてのみ特別代理人の選任が必要となります。
特別代理人の選任を手続きをせずに行った利益相反行為は無効です。
代表的な取引としては、理事長所有の不動産を医療法人の事業の為に賃貸契約を結ぶことや、理事長からの借入などがあります。
ただし、理事長からの無利息無担保での借入は特別代理人の選任は要らないとの取り扱いになっています。
その為、基金の引受けを理事長が行う場合も無利息無担保なので、特別代理人の選任は不要です。
特別代理人の選任の必要性は法人側から見て利益相反によって損害を被る恐れがあるか?によって判断します。
その為、既に結ばれている契約を法人にとって有利に変更する場合は必要無いです。
医療法人に限らず、学校法人や宗教法人、社会福祉士法人などの非営利法人では同じような規定があります。
ですが良く知らない会計事務所などは営利法人と同じ感覚で気軽に役員貸付や借入の処理をして申告をしてしまっているので、後から大問題になります。
手続き経ずに行った行為は無効ですので、過去に遡って全額返還と修正申告を求められる事があります。