「診療報酬の不正」に対しての処分について
診療の事実がないのにも関わらず診療報酬を請求した「診療報酬の不正」に対しての処分について。
保険医の登録に関わる「保険医療養担当規則」では、第23条の2で適正な費用の請求の確保が定められています。
『第二十三条の二 保険医は、その行つた診療に関する情報の提供等について、保険医療機関が行う療養の給付に関する費用の請求が適正なものとなるよう努めなければならない。』
療養担当規則に違反した場合には、健康保険法第81条の規定により、保険医登録の取消し処分の対象となります。
一般的には、違反したら直ちに「行政処分」として保険医登録が取り消されると言うケースはまれので、行政の監査で違反が発見された場合には、「行政指導」として、重大な過失による不正または不当な請求がされていたような場合には『戒告』、軽微な過失により不正または不当な請求がされていた場合には『注意』がされることが多いようです。
但し、過失ではなく『故意』の場合は悪質であると考えられる為、その内容によっては指導ではなく、いきなり『登録の取消』とされる可能性もあります。
『登録の取消』と判断され場合には、行政手続法上の不利益処分に該当する為、処分前に弁明の機会を与えられて、行政が言い分を聞く機会がありますが、通常は弁明をしたからと言って処分が見送られる事はまずありません。
また、保険医の登録が一度取り消されると、5年間は再度の登録が出来なくなります。
さらに、保険医登録の取消は、健康保険法上の行政処分ですが、保険医の登録が取り消されると言う事実は、「医師としての品位を損するような行為があったとき」に該当する為、医師法により医師免許の取消し、または機関を定めて医業の停止を命じられる可能性があります。
行政処分に対して不服がある場合には、行政不服審査手続きなどを弁護士に依頼してする方法がありますが、あまり勝ち目はないと思います。