医療機関でコンタクトレンズやサプリメントの販売ができる

『医療機関におけるコンタクトレンズ等の医療機器やサプリメント等の食品の販売について』

国の解釈によるとどうやら、医療機関では限定的な範囲でですが、高度管理医療機器の販売業の許可なくコンタクトレンズを販売できる、というか今までも出来た??ようです。

コンタクトやサプリメントの販売が認められるようになるのではないか、3月3日に公開された昨年の医療部会の議事録を見てすでに、私の3月10日付のブログでも書いておりましたが、その後の事務連絡が出ていたことはつい先日知りました。
http://ameblo.jp/fyk-consulting/entry-11792919566.html

8月28日に厚生労働省医政局総務課より都道府県等の医療担当部局あてに出された上記タイトルの事務連絡について、縦割り行政の弊害と、全く関連部署との調整もなく事務連絡を出したようで、確認をしてみると現場の対応がバラバラです。

まず一番懸念するのが、医療法人の場合は今まで物品の販売がその額に関わらず収益業務にあたるとして、付随業務とみなされる範囲であるか、社会医療法人などでない限りできないと東京都では指導されてきました。

そして付随業務と認めるかどうかは病床の有無によるとして、無床の診療所ではその患者さんのための物品の販売もダメだとされてきました。

この件につき、この事務連絡を受けて医療法人での患者さんへのコンタクトやサプリメントや歯ブラシやらの販売は、規模に関わらず付随業務であると考えて良いのかを厚生労働省の医療法人担当部署に確認をしたところ、総務課が医療機関であればできると言っているのだから、これは本来業務として捉えて良いと考えているのとのご回答。

付随業務ですらなく本来業務でよいとは!

ちなみにこの件を東京都の医療法人係りに、この事務連絡を受けて対応が変るのかを聞いたところ、この事務連絡の存在すら知りませんでした。

事務連絡を出した厚労省医政局総務課の岩崎さんの話では、医療機関での物の販売行為につき、今まで都道府県などによって指導にばらつきがあったことに対して、今年6月の閣議決定を受けて、個人診療所・医療法人を問わず、物品の販売が一切できないものではないことを明確にするための連絡を出したとのことでした。

そして、患者さんに対して診察を行いその診察に基づいて医師の判断・助言でコンタクトを販売することは、医療の一環として医療機関なら行える行為(=本来業務)であり、不特定多数の人への販売を目的とした販売業とは異なる(=販売業の許可をとらずに販売できる)とのお話でしたが、個別の販売業の許可の要・不要の判断は都道府県のするもであり、事務連絡は法的拘束力のあるものではないとの話でした。

東京都の医療機器販売業免許の係りに対応を聞いたところでは、事務連絡は国の医政局から出されたものであり、いまだ薬事の側の担当局からはなんら新しい通知等だされていないため、いままでどおりの対応しかできない、医療機関でのコンタクトの販売の許可が不要なのか必要なのかも国の通知をまたないと判断できないとの事だったので、厚生労働省の医療機器販売業免許の担当部署である医薬食品局の医療機器・再生医療等製品審査管理室に聞いてみたところ、やはり法改正等があったわけではなく、今までと何ら販売業免許について変更はなく、不特定多数を相手に反復継続して販売するには販売業の許可が必要だと言うことでした。

ただ、医政局総務課が患者へ対して診察を行って療養の向上を目指し、その延長線上でコンタクトを販売する事は、医療行為の一環だと言っているので、その限定的な範囲に収まる限りにおいては患者さんに提供することは販売業ではないという事だとのことでした。
ただし、診療を行わずに患者の家族や不特定多数を相手に販売する事や、療養の向上目的ではない(おしゃれ目的のカラーコンタクト等)場合は、販売業の許可が必要だとの事でした。

それから、療養の向上を目的として治療の一環としてコンタクトなどを販売した場合に、混合診療の面からの懸念がある旨を医療機器担当部署の対応された方から指摘され、その点について再度、医政局総務課の岩崎さんに確認したところ、そこについては治療行為そのものだとみなされると混合診療になり、診察も含めて全体が保険対象外になる恐れがあるが、視力矯正は治療とは違うのではないかと考えているとの事でしたが、この点について関連する保険審査担当の部署や、直接の指導の管轄である厚生局とは調整はとれていない(とっていない)との事でした。
医政局総務課としては、あくまでも医療機関でも一切の物品販売ができないわけではないことを示したにすぎないので、保険請求の事については、厚生局に確認してほしいとのことでした。

それを受けて厚生局の東京事務所に確認をしてみたところ、治療の一環となれば混合診療の概念にはあたるものだが、上(=厚生労働省)の判断であれば出先機関でそれについて判断できる物ではない、上ができると言っているのであれば認められた混合診療の一つとみれないこともないが、個別で指導される可能性はあり、その時には厚生労働省に責任を振ってもらうしかないとのお話でした。

以上から、眼科で診療を受けた患者さん限定に診療所内でのコンタクトの提供は、高度管理医療機器販売業の許可を取らずにできそうではありますが、現状では診察を含めた全額自己負担となる自由診療であれば良いですが、診察に保険を使う通常のケースでは、あとから保健指導を受ける可能性と、その後に否認されるリスクがゼロではないという状況でしょうか。

医政局としては、6月の周知を行うとの閣議決定をうけて、いままで曖昧だった点につきこの事務連絡をもって周知はしたので、法改正があったわけではなく、今後改めて別の通知などを出す予定はないとの事でしたが、都道府県などからの問い合わせも多く、Q&Aのようなものを出そうかと検討はしているが出すと決まったわけでもないとの事でした。
同様なことは医薬食品局でも言っておりました。

無責任な縦割り行政で振り回されリスクを負うのは、実際にその現場で行為を行う人です。

ちゃんと関連する部署と調整してから解釈を出してほしいものです。